人の目が気になって疲れる40代へ、私が変われた話

朝焼けに染まる山の稜線 キャリア戦略

会議で発言する前に、頭の中で三回くらいシミュレーションしてしまう。SNSの投稿ひとつに、誰かに変に思われないかと妙に時間をかけてしまう。家族といても、ふと「自分はちゃんとやれているだろうか」と誰かの採点を気にしている自分がいる。

そんなふうに、人の目が気になって、気づけばぐったり疲れている。そんな40代は、決して少なくないと思います。私自身、営業を22年やってきて、この感覚とずっと付き合ってきました。

「人の目が気になる」の正体は、他人軸で生きてきた歴史

人の評価が気になるのは、性格の弱さではありません。多くの場合、それは長い時間をかけて身についた「生き方のクセ」です。

私の場合、その根っこは子供の頃までさかのぼります。運動も勉強も得意ではなく、いじめられていた時期がありました。誰かに認められたい、ここにいていいと思われたいという気持ちは、あの頃からずっと自分の中にあったものだと思います。認められたい気持ちは、弱さではなく生き延びるための力だった。そう思えるようになったのは、正直ここ数年のことです。

その気持ちのまま社会人になり、結果を出せば認められる営業という仕事に入ったのは、今思えば自然な流れでした。1〜2年目は結果が出ず、上司に怒られて眠れない夜が続きました。それでも続けられたのは、根性というより「意地」でした。3年目あたりからようやく数字がついてきて、時間をかけて信頼を積み上げることが、自分にとっての財産になっていきました。

疲れの原因は、だいたい3つに集約される

40代で「人の目が気になって疲れる」とき、原因を分解すると、たいてい次の3つのどれか、あるいは全部が重なっています。

原因①:評価の基準を、自分の外に置いてしまっている
「周りにどう見られるか」が判断基準の中心になっていると、どれだけ結果を出しても安心できません。基準が自分の中になく、他人の反応という不安定なものに委ねられているからです。

原因②:役職や年齢が上がり、”見られる側”の意識が強くなる
40代になると、部下や後輩、取引先から見られる機会が増えます。一般的には、この年代で「もっとちゃんとしていないと」というプレッシャーが強まりやすいと言われています。頑張ってきた人ほど、この重さを感じやすいのだと思います。

原因③:これまでの積み重ねを失うのが怖い
私自身、独立を決める前の冬、会社での評価がすべてだと思っていました。前の年の12月の人事で出世できず、「もう辞めなきゃ壊れる」と思うところまで自分を追い込んでいました。積み重ねてきたものを手放すのが怖くて、余計に人の目を気にしていた面もあったと思います。

抜け出す方法は、「軸を自分に戻す」練習をすること

人の目を気にする自分を、無理に責める必要はありません。大事なのは、評価の軸を少しずつ自分の内側に戻していく練習だと思います。

私は約1年前、22年勤めた会社を辞めて、フリーランスの採用コンサルタントとして独立しました。妻には猛反対され、離婚の話まで出たほどです。それでも動いた本音は「家族のため」と言いながら、実は自分が壊れそうだったから、という自分勝手な部分もありました。きれいごとだけで動いた独立ではなかった。それが正直なところです。

独立してからの1年は、正直かなりしんどいものでした。半年経っても何が正解か分からず、受注はまだ1件だけ。何百回も心が折れかけました。それでも9ヶ月目あたりから、点だったものが少しずつ線につながる感覚が出てきました。会社にいた頃は「評価されるかどうか」でしか自分を測れなかったのに、今は「昨日の自分より少し前に進めたか」で測れる瞬間が増えてきています。これが、この1年でいちばん大きな変化だと感じています。

今日からできる、小さな具体アクション

抱えている疲れを一気に手放すことはできなくても、今日からできることはあります。

  • 「これは誰のための判断か」を、寝る前に1つだけ自分に聞いてみる
  • SNSやメールの文面を見直す時間に、あらかじめ上限(3分など)を決めておく
  • 1日の終わりに、他人の評価とは関係なく「今日よかったこと」を1つだけメモする
  • 人に相談するときは「どう思われるか」より「何を助けてほしいか」を先に決めてから話す

どれも地味な行動ですが、評価の基準を自分の内側に置き直す練習として、続ける価値があると感じています。

心と体のメンテナンスも、軸を戻す一部

人の目を気にする状態が続くと、体にも出ます。私自身、独立を決める前は、朝、玄関で足が止まってしまうことがありました。自転車で2キロの通勤すら、ひどく重く感じていた時期です。今も正直、朝がしんどい日はあります。ただ、しんどさをゼロにしようとするより、「しんどい日があってもいい」と前提を変えるほうが、結果的に楽になれることが多いと感じています。

家庭の中でも同じことが言えます。パートナーや子供に対して「ちゃんとした親でいなければ」と気を張りすぎると、かえって家族との会話がぎこちなくなります。一般的には、家族の前でだけは評価を気にせず素の自分でいられる時間を意識的に作ることが、関係を楽にすると言われています。私自身、家族に本音を話せるようになったのは、独立という後がない状況に立ってからでした。

今後のキャリアと、生き延びるための戦略

営業をしていた頃、お客さんの社長から経営相談を受けることがよくありました。売上目標から逆算して必要な人数を割り出すなど、数字で踏み込んだ提案をすることが自分の武器でした。ただ振り返ると、頼られるほど一人で抱え込みすぎていた面もあります。人に頼られることと、一人で背負い込むことは、まったく別の話。この区別がついてきたのも、独立してからです。

これからのキャリアを考えるとき、「評価されること」を目的にすると、どうしても他人軸に引き戻されてしまいます。そうではなく、「誰にどう役立てたか」を基準に置き直すと、同じ仕事でも疲れ方が変わってきます。私が今、採用コンサルタントとして企業側の支援をしているのも、評価そのものより「困っている経営者の役に立てたか」を軸にしたいと思っているからです。まだ受注は多くありませんが、この軸で続けていくつもりです。

お金の面でも、他人軸から抜け出すヒントがあります。以前は同世代と比べて浪費してしまうこともありましたが、投資信託(S&P500やオルカン)をコツコツ積み立てるようになってからは、「人と比べて増えたか」ではなく「自分の家計が去年よりどれだけ改善したか」を見るようになりました。人と比較しない基準を一つ持っておくと、それだけで気持ちが軽くなる場面が増えると感じています。

まとめ:軸は、少しずつでいい

人の目が気になって疲れるのは、これまで真面目に、周りとの関係を大事にしながら生きてきた証拠でもあります。急に他人軸をゼロにする必要はありません。私自身、今もまだ道の途中です。それでも、独立という選択を通して、他人軸から自分軸へ、少しずつ重心が移ってきているのを実感しています。

お金の不安と向き合いながら独立を考えている方には、こちらの記事「40代でフリーランスになる前に整えたい「お金の備え」4つ」もあわせて読んでみてください。また、出世できなかった夜に何を考えたかは「40代で出世できないとわかった夜、私が考えたこと」に、抱え込みすぎてしまう40代の話は「頼られすぎて抱え込む40代へ|数字に助けられた話」に書いています。

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